機械設備で使われる「ユニット」とはどういった意味なのでしょうか。「装置製造・自動機」といった技術も製造現場では欠かせないものとなっています。
今回はユニットの意味や装置製造、自動機の分類についても解説していきます。
ユニットとは何を指すの?
「ユニット」とはさまざまな業界で使用される言葉ですが、機械設備においてはどのような意味を持つのでしょうか。ここではユニットが何を指して使われているかと、そのメリットについて解説していきます。
装置製造で使用される自動機の1つをモジュール化したもの
機械設備においてユニットとは、装置製造の中の一部を指します。装置製造では、製品に必要な組み付けや曲げ加工、溶接、塗装などの作業を、これ一つで行うことができるのですが、それを可能にしているのが、それぞれの作業に対応したユニットの存在です。
製品を抑えるためのアームユニット、ネジを締め付けるためのドライバーユニットなど、個々の機能にあった役割を持ったユニットの集合体が装置製造と言えます。
部品を一つの機能として組み立て、ユニットとして扱うことでのメリット
機能をユニット化して扱うことで、装置製造に柔軟性が生まれます。必要に応じてユニットを交換することで、他の製品の生産に転用できるだけでなく、装置全体を入れ替える必要がないことで、コスト削減につながります。
さらに、ユニット毎に整備ができるため、メンテナンス性の向上にもつながります。
ユニットをカスタマイズすることで、自社の規格に合わせた作業を行えるようになる点も大きなメリットです。
装置製造とは?
「装置製造」とはどういった意味で使われるのでしょうか?装置製造は「自動機」や「専用機」とも呼ばれ、製造工程を自動化する機械のことです。
ここでは装置製造の解説や、どんな機能があるかを紹介していきます。
自動で特定の作業を行う装置を用いて製造を行うこと
製品の組み立てや加工の作業を自動で行う機構のことです。オートメーションとも呼ばれ、現在の製造工場では欠かせない装置となっています。
大規模なものは工場のラインに組み込まれて、流れてくる部品をそれぞれの自動機で作業を行います。
小規模なものでは、作業の一部のみを扱う自動機を人の手では作業できない部分のサポートとして使用されています。
装置製造の分類は大きく分けて3つ
装置製造は大きく分けて3つあります。それぞれがどんな作業をその装置で行うのかを表しており、それに応じて適切なユニットを組み合わせます。
組立装置
組立装置とは、部品と部品を組み合わせる作業を行う装置です。主に3つの役割があり、1つがネジ締めです。
ナットランナーとも呼ばれ、ドライバーで行う作業を自動化したものですが、作業のスピードアップだけでなくトルク管理も同時に行えるため、組み付けトルクの管理が厳しい部品や、トルクが大きいと破損する可能性のある精密機器などの製造に役立ちます。
2つ目はカシメです。カシメとは金属の塑性変形の性質を利用したもので、リベットと呼ばれる素材を潰して2つの部品をつなぐリベッターや、曲げを利用して組み合わせるベンダーなどがこれにあたります。
3つ目は溶着です。溶着では溶接や接着剤を用いて部品を貼り付けますが、自動機で行うことで正確な接着と作業の安全性が確保されます。
加工装置
加工装置とは、部品を必要な大きさに切り出したり組み付け前の下処理を行う工程で用いられます。部品の形状を変形させる切削や切断といった工程は、自動化によってより精度が高まり、作業員の安全性確保にもつながります。
また、部品へのシールやシートの貼り付けや、それに付随するフィルムや剥離剤の剥離作業も加工装置に含まれます。
最近ではスマホやテレビに使われている「有機EL」の製造でも活躍しています。
検査装置
検査装置では部品や完成品が規定通り仕上がっているか、異物の混入などがないかを調査する機能を持ちます。従来のような人の手によって検査を行う作業では工数がかかり、数値管理や機材の扱い、精度の高さなどで限界がありました。
しかし、自動機として使うことで一度にさまざまな検査が可能になりました。ミスも少なく精度の高い検査が、スピーディーに行えることから、多くの現場で活躍しています。
画像を用いて一度に部品の検査を行う画像検査や、製品や部品が想定している機能になっているかチェックする動作確認、ボンベや真空容器などの漏れがあってはならないもののリーク検査などが有名です。
まとめ
さまざまなユニットを組み合わせて作られた装置製造は、自動化や作業効率だけでなく、人件費の削減や安全な作業の推進につながっています。
また、人力ではできなかった大型部品の作業や精密な加工も、装置製造を用いることで可能になりました。
今後さらに多くの種類のユニットが登場することが予想され、組み合わせ次第で多彩な作業を可能にするでしょう。
製造に関わる仕事をする際には、こうした最新技術の情報をキャッチして、工程に活かせるかを検討することで、今までできなかったことができるようになるかもしれません。