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機械加工とはどんなもの?定義や方法、種類を知ろう!

「機械加工」という言葉はなんとなく意味やイメージはできるかもしれません。しかし、実際に工業の分野でどういったものがそう呼ばれているかはわかりにくいのではないでしょうか。

今回は機械加工に含まれている加工方法の定義や方法、種類について詳しく紹介していきます。

加工方法は大きく分けて3種類

まず機械加工には大きく分けて以下の3つの加工法があります。

  • 除去加工
  • 成形加工
  • 結合加工

ここからさらに細分化していき、使用する道具や機材、設備が変わってきます。それぞれを解説していきます。

除去加工とは?

除去加工とはその名の通り「物質から除去」することで形状を変化させる加工方法です。材料を切り離したり削ったりするものと考えれば、イメージしやすいのではないでしょうか。

ここからは除去加工の中でも代表的な

  • 切削加工
  • 研削加工
  • 研磨加工
  • 放電加工

の4つについて解説していきます。

切削加工

切削加工では、切削工具を使って切ったり穴をあけたりする作業を行います。機械加工の中では最もメジャーなもので、最初にイメージされるものだと思います。

この加工法は金属だけでなく、プラスチックなどの樹脂といった素材も加工が可能なため、とても汎用性の高い方法です。

旋盤加工

旋盤加工では、旋盤と呼ばれる装置を用いて材料を回転させながら、切削工具である「バイト」を使って外周や内部を削っていきます。材料自身を回転させて加工を行うため、棒状のものや大きな穴をあける場合に効果的です。

加工された後の部品は円形をしていることが多いことから「丸物」と呼ばれることがあるため覚えておくとよいでしょう。

フライス加工

フライス加工は「NCフライス盤」や「マシニングセンター」といった装置を用いて、固定した材料に対して回転する「フライス」や「エンドミル」といった刃物を当てて加工を行います。

加工方法には材料の上部から平面を削る「平面加工」、材料の横から削っていく「側面加工」、平面に段差をつける「段差加工」、細い工具を使って溝を掘る「溝加工」の4つがあります。

これらの加工方法を組み合わせて材料を加工していきます。

特にマシニングセンターを使用して加工する場合は「マシニング加工」と呼ばれることもあります。

穴あけ加工

加工の中でも穴をあける加工に特化した作業を行う場合は、穴あけ加工と呼びます。円筒状の穴をあけるだけでなく、ネジ穴の加工や穴のブローチ加工やリーマ加工といった加工もこの加工で行います。ただし、近年ではマシニングセンターでの加工も可能なため、専用の設備は珍しくなっています。

研削加工

研削加工は材料に対して高速で回転する「研磨砥石」を押し当てて削り取っていく加工です。この研磨砥石は、ダイヤモンドなどの硬度の高い物質を砥粒として採用できるため、切削加工で加工できない硬い材料でも加工できます。

また、広い面を一気に削ることもできるため、大まかな形状を整えたい場合にも有効です。微妙に削り取って寸法を成立させたい場合にも使えるため、仕上げの加工としても用いられます。

研磨加工

研磨加工は研磨工具やコンパウンドを用いて、部品の表面を仕上げていく加工のことです。研削加工と似ていますが、削り取って形状を整えるのではなく、材質の表面を僅かに削って仕上げを行う点が異なっています。

放電加工

放電加工は高圧電流を用いて、材料と電極の間で放電現象を発生させ、その熱で加工を行います。細いワイヤ状の電極を使用して材料を切断していく「ワイヤ放電加工」と、電極を特定の形で作成して使用する「型彫り放電加工」の2種類があります。

放電加工は材料が金属の場合に使用できますが、硬度が高いものであっても加工が可能です。

また「型彫り放電加工」では、細かい彫刻のようなデザイン性の高い加工もできます。

成形加工とは?

成形加工とは、材料を変形させて加工を行うことです。変形のさせ方は力を加えるものから、液体上の材料を型に流し込んで形を整えるものまでさまざまです。

ここでは

  • 板金加工
  • 鋳造
  • 鍛造
  • プレス加工
  • 射出成形(樹脂加工)

の5つの加工方法に分けてそれぞれ紹介していきます。

板金加工

板金加工は板状の金属を折り曲げて加工を行います。主に曲げる形や方向が決まっている汎用金型を使って成形する「機械板金」が代表的です。

板金加工は特定の型を必要とせず、大量生産に向いていますが精度が出しにくいため、高い精度を求められる部分には不向きとされています。

筐体や外装といった中空のものを製作したい場合に用いられます。

鋳造

鋳造は鋳型と呼ばれる型に、溶かした金属を流し込んで成形する加工方法です。古くから金属の加工方法として親しまれており、今でも多くの加工現場で採用されています。型を用意するコストはかかりますが、その分大量生産に向いています。

ただし、熱された金属が冷めていく過程で、内部に空気の穴(巣)ができやすいため、強度を高めることは難しく、一定の厚みがないと形状を保てない点がデメリットです。

鍛造

鍛造は金属を叩いて圧力をかけていくことで変形させ、同時に強度を上げることのできる加工方法です。刃物や工具といった強度を必要とするような製品に用いられます。

こちらの加工方法は一つ一つの製品に対して作業が必要になるため、大量生産には向いていません。

プレス加工

プレス加工は板金加工と似ている部分がありますが、異なるのは専用の型を使用する点です。

製品に合わせた型を用意する必要があるため、設備の初期コストがかかりますが、大量生産が可能で、複雑な曲げも一度で可能になるため時短になります。

射出成形(樹脂加工)

射出成形は樹脂などの柔らかい材料を加工する際に用いられる方法です。樹脂は型にそのまま流し込んでも細部まで行き渡らないことがあるため、流し込む際に圧力をかけて射出することで、型の隅々まで材料を行き渡らせることができます。

そのため、複雑な形も再現可能で、中に気泡ができにくくなっています。

結合加工とは?

結合加工とは、2つの材料を組み合わせて形を作り上げていく方法です。組み合わせる際に物質を溶かして接合する「溶接」と、別の母材を用いて結合する「接着」の2つに大きく分かれます。

溶接

溶接には「融接」「圧接」「ろう接」の3パターンあり、それぞれに接合するための方法が異なります。融接は2つの材料のお互いの接合部分に熱を加えて溶かし、冷ますことで溶けた部分がくっついて固まる原理を利用しています。

圧接の場合は、2つの材料の1点に圧力をかけながら電流を流すことで電気抵抗を起こし発熱させ、一瞬で接合させる方法です。

接着(ろう付け)

ろう接は材料自体を溶かすことなく、くっつけるための母材を溶かしながら接合部分に塗布し、冷めると結合される方法です。電子部品に用いられるはんだ付けもこの原理を利用した物であり、450℃以上で融解する母材を利用する場合(アルミや銀、リン銅など)を「ろう接」、450℃以下の場合は「はんだ付け」と呼びます。

まとめ

機械加工にはさまざまな加工方法がありますが、製品の構造や材質に合わせて適切な加工を選ぶことが大切です。

また、実際に生産する場合は、

  • 「どのくらいの量を製造するのか」
  • 「どういった精度が必要なのか」
  • 「生産コストはいくらかけられるのか」
  • 「生産にかかる工数はどのくらいか」

といったことを念頭に置いて決められています。

業界や工場の規模によっても、加工装置の種類も変わってきますので、自分が目指したい業界ではどんな機械加工が主流なのか調べておくことで、見つけるべきスキルや資格がわかってくるのではないでしょうか。

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